七夕で短冊にお願い事を書いて祈るようになったのは、中国から伝わった宮中行事が関係しています。
でも、実は「短冊に書いて願い事をする。」ということ自体は、中国からではなく日本独自のもので、それには俳句や和歌など日本の文化と大きく混ざったために生まれたものでした。
「同じように、七夕飾りもいろんな意味が込められています。」
そんな短冊や七夕飾りを飾る「笹」にも大きな意味があります。
あなたもご存知のジブリ映画「千と千尋の神隠し」の元と言われている行事にも、この笹が同じような意味で使われたりしています。
七夕で私たちが何げなく楽しんでいる
「五色の短冊」や「願い事」、そして七夕飾り
昔から習慣になっていますが、
どうして七夕の日には、笹の葉に短冊や飾りを吊るすようになったのでしょうか?
そんな七夕で短冊に願い事をする意味についてまとめました。
七夕で短冊に願い事をする意味って何なの?
七夕の日には短冊にお願い事を書いてお星さまにお祈りをしますよね。
このお願いも、子供達はたまに突拍子もないことを書いている時があるので、ついツッコミたくなるようなお願いもたくさんあります。
そんな七夕のお願いですが、まずここで見ていきたいのは、
- 「お願い事」
- 「短冊」
この2つです。
これも別々に意味があるのですね。
七夕の日に星に願い事をする意味とは?
まずは、
どうして七夕の日にお願いをするようになったのか?
実は、このお願いというのは、元々
- 機織りが上手な織女にあやかりたい。
- 裁縫が上手になりたい。
といったように、「衣服の仕立ての技術が上達するように。」という意味のお願いだったのです。
これは中国から伝わった、「乞巧奠(きこうでん)」という宮中行事に由来があります。
この乞巧奠(きこうでん)とは、機織りが上手な織女にあやかり、7日の夜に「針や糸を供えて、手芸の上達を願う。」といった行事でした。
7月7日の夜に女性たちが7本の針の穴に色鮮やかな糸を通し、さまざまなお供え物を用意して針仕事、機織りの上達を祈ったとのことです。
それが日本に伝わったときも、同じようにお祈りがされていました。
七夕でお願い事を短冊に書く理由
でも、時代の流れとともにこのお願いの仕方も徐々に変化していったわけで、「平家物語」にもそのことが記されているようです。
七夕の夜に貴族が「梶(かじ)の葉」に願い事を書いて供えていたというのが、今のような短冊にお願い事を書く原型だとも考えられています。
これは鎌倉時代のお話ですが、時代が進むとともに室町時代になってからは、「和歌や書道の上達も願うようになった」とされています。
このときに、和歌を詠んで短冊に書いたものを供えるようになったのが、「短冊」を使った最初だと考えられています。
それが江戸時代には町民にも広がるようになりました。
寺子屋(今の学校)の子供たちも、こうやって書道の上達を願って笹の葉に吊るしたとされています。だから、私たちが広く行っている七夕の行事のような形は、江戸時代からだと言われていますね。
そして、これは日本で独自に進化していった文化のようです。
七夕で五色の短冊に願いを書いた理由
そんな七夕のお願い事を書く短冊は、もともと、「短歌や俳句を詠むときに使われていた、装飾された分厚いキレイな紙」のことを言います。
テレビとかでも似たようなシーンを見たことあるかもしれませんが、俳句などを書く時に何か専用の紙を持ってそこに書いてますよね。
あれが短冊だったのですが、七夕のときには、
「五色の短冊」
という5つの色の短冊を使うことが一般的です。
五色の短冊~、わたしが書いた~♪
お星さま~キラキラ~、空から見てる~♪
このように七夕の歌にもなっていますよね。
そんな七夕の短冊などが歌詞になった七夕の歌もありますね。
参考ページ七夕の歌詞や意味は?童謡「たなばたさま」の笹の葉さらさらや砂子とは
七夕には童謡の「たなばたさま」という歌詞はどうだったのか。
「笹の葉サラサラ」「砂子」「五色のたんざく」など、どんな意味なのかまとめたので、ぜひこちらも読んでみてください。
5色の短冊の色はそれぞれ、
- 青
- 赤
- 黄
- 白
- 黒(紫)
どうしてこの色なのかというと、もともとの起源である中国の宮中行事「乞巧奠(きこうでん)」
織姫と彦星へのお供え物に祭壇のそばに神聖な笹竹を立て、五色の織り糸を掛けたのが七夕飾りの始まりといわれています。
そしてこの5色は、中国の「陰陽五行思想」という考えから来ている説があります。
この考えでは「木、火、土、金、水」
この5つの要素がこの世のものすべての根源であると唱えていて、仮にこの五色と五常を当てはめた場合、
- 青[仁][木]=思いやり、慈しみ。
- 赤[礼][火]=人の踏み行なうべき道に従うこと
- 黄[信][土]=欺かず偽らない。忠実なこと
- 白[義][金]=人道に従うこと
- 黒(紫)[智][水]=物の道理を知り、正しい判断を下す能力。
このように踏まえた関係になりますね。
特に「紫色」というのは、もっとも位の高い色として用いられてきました。
例えば「冠位十二階」という制度がありましたが、この最も高い位(大徳・小徳)に「紫色」が与えられていたと考えられています(*諸説あります)
また、喜寿(77歳)を表す色としても「紫色」が使われていますが、これもその時代には、「こんなに長生きするなんてすごい!」ということを表す意味で紫色が使われていたとも言われています。
そして、この5色は端午の節句の行事の一つでもある「鯉のぼりの吹き流し」にも、この5色が使われ「魔除けの意味」として、てっぺんに飾られているんですね。
日本の文化では、この5色は様々なところで影響していることがあるので、非常に興味深い色なんです。
七夕飾りをする意味って何なの?
さて、七夕の短冊のお願い事にはこんな由来や意味があったのですが、笹の葉には短冊以外にも色んな「七夕飾り」を飾ります。
その七夕飾りには、折り紙を使って
「ちょうちん」や「紙ごろも(神衣)」、「天の川」や「織姫彦星」
いろんな飾りつけをしますよね。
この七夕飾りにも短冊のように一つ一つ意味が込められていて、
こんな意味が込められています。
これは、七夕の起源でもある中国の「乞巧奠(きこうでん)」でのお祈りと一緒ですね。
そんな感じで、他の七夕飾りにも意味が込められています。
そこで笹の葉に飾る主な七夕飾りと、その意味をまとめました。
七夕飾りと提灯や短冊の意味
- ちょうちん:心を明るく照らす、織姫と彦星が出会うために。
- ふきながし:5色を使って魔除けを表している。
- 短冊:願い事が叶うように
- 巾着:金運アップ、お金がたまるように。
- くずかご:ものを粗末にしないように
- 折鶴:長寿をねがう。
- 織姫と彦星:ずっと仲良くいられますように。
- 星飾り:に願が届くように
- あみかざり:大漁や豊作をお願い。
他にもいろいろ七夕飾りはあると思いますが、主なところではこんな感じでしょうか。
七夕で笹に飾りする意味や理由は?
さて、お願いを書いた短冊や七夕飾りは「笹の葉」に吊るしますよね。
これは、笹や竹は丈夫で生命力にあふれている植物で、まっすぐに伸びることから神聖なものとして神事でも使われてきました。
つまり笹(竹)は、「魔除け・悪いものを寄せ付けない」といった意味があり、そんな笹の葉に短冊や飾りを吊るしてお願いすることで、神聖なものとしたんですね。
千と千尋の神隠しと笹
この笹を使った神事には
と呼ばれる「千と千尋の神隠し」の元となったと言われる行事があります。
湯立て神楽は、大釜の湯を笹で散らすことで邪気を払い、無病息災を祈願する行事です。
こんなふうに笹は神事で使われることも多く、昔話でも「竹取物語(かぐや姫)」のお話もあったりしますよね。
七夕では、そんな神聖な笹を使って祈ったわけなんですね。
七夕が終わった笹の処分は?
七夕で役目を終えた笹は、昔は川に流す「七夕流し」という風習があったようですが、今はイベントでもない限りなかなか川に流せませんよね。
神社では「焚き上げ式」といったように、役目を終えた笹を焼く行事もあるようです。
個人で七夕の笹を処分するときは、ハサミなどで切ってゴミ袋に入るよう小さくしてから燃えるごみとして出すことが多いようです。
まあ、本当はしっかりと風習に合わせたように川に流すなどしたいですが、今の住宅事情ではなかなかできないので仕方ないところですね。
ただ、子供には見られないように、こっそりと片付けたいですね。
あとがき
七夕で短冊に願い事をする意味はいったい何なのか。
また、七夕飾りの意味やそれを笹に飾る理由など、七夕の行事の一つの七夕飾りについてまとめましたがいかがでしたか。
七夕には短冊や飾り付け、願い事など様々なキーワードがありますが、これらの意味や由来を知っておくと月見がさらに楽しめるようになります。
そんな七夕を100倍楽しむためにたくさんの豆知識をまとめました。
非常に興味深い話がたくさんあるので、ぜひ気になる記事をご覧になってください!
そんな七夕の行事では、今回の短冊や七夕飾りなど準備がありますが、「七夕に食べるご飯やおやつ」も楽しみのうちの一つですよね。
もし、まだメニューが決まっていないのなら、実は七夕には定番の食べ物というのがあるんです。
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コメント
聖徳太子の冠位十二階では、色は決められていませんよ。『日本書紀』を読んでみればわかります。その後紫が最上位になったことはありますが・・・・。五色の持つ意味については、倫理的な意味はもともとありません。近現代の人が無理やりこじつけたもので、歴史的には全く異なっています。
mik3さん、コメントありがとうございます。
五色についてこちらは仁義礼智信の五常の意味とそれぞれに当てはめられている五行の関係を短冊の五色の色に当てはめたので、歴史的な意味というより込められている思想の関係性ですね。その旨の説明も入れて修正させていただきます。ご指摘ありがとうございました。